会社を運営していく中で、気をつけていても労務トラブルは起きます。
インターネットの普及により、従業員たちも労務についての情報を収集でき、
弁護士や労働基準監督署に駆け込みトラブルになるケースもあります。
一度こじれてしまうと、会社の信用が失われますし、多額のお金を請求されたりと、
取り返しのつかないことになってしまいます。
トラブルの解決法が分からず従業員との板挟みになり、悩んでいる経営者の方や人事担当者の皆様に向けて、
すでに起きてしまったトラブルを双方が納得いくように解決するための方法を社労士がアドバイスします。
円満解決に向けて、ポイントを抑え早急に対応しましょう。
最近、無断欠勤をし、そのまま連絡が取れなくなる方が非常に増えています。
ご本人と連絡を取れるようにするしかないのですが、難しければ実家等に連絡を取ってみるのも一つです。
ただ、連絡が取れたとしてもこういう社員の復帰は会社も同僚も気持ち良く迎えることは難しいと思います。
実務的には、就業規則に○日間連絡が取れない場合は、自然退職とすると規定する等、規定しましょう。
入社時に口頭で「残業代を含んでいるからね。」とお話をされていたとしても
退職時にそのままご本人は「聞いていました」と言うでしょうか?
円満退職を望んでいる方は揉める可能性はないかもしれませんが、そうでない方も多くいらっしゃいます。
就業規則、雇用契約書にきちんと記載しましょう。
残業代については、何時間含んでいるのかを明確に決め、明記しておいて下さい。
そして決めた時間を上回った場合はその上回った分のみ支払って下さい。
そうすれば上記の契約は有効な取り扱いとなります。
有給休暇の申請を行ってきた場合、会社には時季変更権(時期を変更してもらえませんか?という権利)が
認められていますが、退職時には、時期を変更することが不可能なため、法律上では認めざるを得ません。
然しながら、引き継ぎもしないでいきなり明日から有給を全部消化させて下さいという従業員には権利を
主張することは構わないが、その前に義務を果たすように本人との交渉の上、再考を促すしかありません。
権利と義務のバランスを取ってもらうよう理解してもらいたいところです。
また、有給休暇の買い取りは認められておりませんが、退職して消滅してしまうものについては
買い取りすることも可能です。買い取りして引き継ぎをしてもらうことも一案かもしれません。
アルバイトやパートのように正社員と比較して勤務時間、日数の少ない方にも有給休暇は法律上存在します。
ただし、勤務時間、日数が少ないので、有給休暇もそれに応じて支給します(比例付与)という取り扱いになっています。